スペインサッカーコーチングコース(レベル3)の授業の終了!と卒論の始まり!
Juego Colectivo(集団プレー)の課題を先生であるセサルにメールで提出し、先にメールで提出済みのPreparación Física(フィジカル・トレーニング)とタクティカの課題が合格していれば、コーチングコースの授業の全てが終わります。昨年の9月に始まり、本当に内容の濃い、ハードな9ヶ月間でした。と同時に6月14日までに提出することになっているProyecto grado(卒論)の提出を今年は諦め、来年の提出に向けて頑張ろうと思います。卒論がなぜ、そんなに大変なのかと言いますと、最低50ページ以上、フォント、フォントの大きさ、書き方、言語(カタルーニャ語かスペイン語か英語)が全て決まっており、完璧な言語で書くことが合格ラインだからです。スペイン人でも、卒論は来年に回す人もいるほどです。この卒論を書くという作業は本を一冊書くようなものだと先生も言ってましたので、大変な作業になります。私自身、卒論のテーマは決まっており、少しですが、書き始めていました。これをコーチングコースの授業と並行して行うことはできませんでした。目標としては、8月中くらいまでに卒論を書き上げ、残りの期間は卒論の修正に努めようと思っています。今シーズンを振り返るとレベル3を受講したことで、本当に実践的で深いサッカーの本質を知る学びが数多くありました。実習では2B(スペイン3部)に所属するCF Badalona(バダロナ)のトップチームでスカウティングを担当しました。CFバダロナに今シーズンはスカウティング担当者が不在であったので、監督、コーチ陣に喜ばれました。スカウティングの仕事は、主に次に対戦する相手チームの試合を相手チームのスタジアムに行き試合を録画し、分析して、動画を編集し、それを10分程度のPWPにまとめて、監督に提出するパターンと、ビデオを撮らずに、スタジアムに行って、例えば、相手のディフェンスだけを分析するということをやりました。その他に、CFバダロナトップチームの試合を録画し、それを分析することも行いましたが、主な仕事としては、相手チームの分析を1シーズン通して行いました。2Bとはいえ、このグループにはFC Barcelona BやValencia B, VillarrealB, EspanyolB, Mallorca B, Levante Bなどのスペイン1部リーグに所属している、していたクラブのBチームがひしめき合う、本当に競争が激しいリーグでありました。特に分析をしていて興味深かったのが、やはり、FCバルセロナB、次にValencia Bが本当に勉強になりました。FC Barcelona Bのプレーの前進のレパートリーの豊富さは目をみはるものがありました。コーチングコースの方はレベル3ということもありますが、先生方の本気の授業を体験することができました。レベル1や2でも、当然、本気でやっていると思いますが、レベル3にきてやっと、先生自身が考えるサッカーの本質について語ってくれたように感じます。これが俺が話したかったことなんだと言うような感じです。生徒も方もレベル3になると、レベルの違いが出てきます。レベル1、2までは頑張って勉強して、用語などを暗記することでテストで良い点数が取れると思います。レベル3になるとテストはほとんどありません。その代わり、試合の分析やPWPを使ったプレゼンテーションが中心となるので、サッカーというスポーツを本当の意味で理解していないと実力に大きな差が出てきます。レベル3になると個人のサッカー観が形作られて行くのを感じました。それはサッカーの原則を知った上での、自身のサッカーのオリジナリティです。これは不思議な体験でした。コーチングコースで学んだことの上に自身のオリジナルなサッカー観が出来上がります。このオリジナルなサッカー観は、実戦で使えるもの、使えないものも多々あると思いますが、このような自身の考えに基づいたものを実践して行くことでスペインサッカーは発展してきたのではないかと考えます。タクティカの課題は自身の「プレーモデル」を作りました。これも自身のオリジナルなサッカー感を表現するのに最適な場所でした。「プレーモデル」は一つではなく、バリエーションを持つことが大事だということも学びました。相手チームの実力、攻撃、守備の方法、攻守の切り替え、グランド状況など様々な要素を自チームの「プレーモデル」と照らし合わせ、週末の試合はこの「プレーモデル」でやるというようにすることが大切です。例えば、FCバルセロナと対戦するなら、相手GKがボールを保持したら、高い位置でマンツーマンディフェンスをするが、もし、それを突破されたら、バルサは「プレーの前進」がうまいので、中盤でのディフェンスは放棄して、自陣のゴール前まで下がってディフェンスをしようだとか。相手が「カウターアタック」が得意なチームであれば、いつもは高い位置でボールを奪われたら、すぐに「プレッシング」をかけるけど、この試合は一度ハーフラインまで全員が「後退」して守備組織を整えてからディフェンスをしようなど、相手チームの「プレーモデル」と「強み」と「弱点」と照らし合わせ、どのプレーモデルを選択するかを考えます。そのためには、2つ3つ「プレーモデル」のバリエーションを持っていた方が良いかもしれません。その相手の「プレーモデル」や「強み」「弱点」を知るためには相手チームの分析が大事になります。「卒論」は残っていますが、サッカーについて深く学ぶことができて、バルセロナに来て本当に良かったと思います。でも、ここで立ち止まることはできません。サッカーは絶えず、進化して深化しています。何歳になっても貪欲にサッカーを学ぶ姿勢を持たないと知らないうちに、世界の最先端なサッカーから取り残されてしまいます。言い方は悪いかもしれませんが、スペインにいるとファッションのように毎年サッカーが少しずつ変化して、流行ができて行くのを感じます。どのチームの監督も自身の「プレーモデル」を微調整して、新しいものを取り入れているように感じます。スペインに来て、コーチングコースを受講する前は、自分はサッカーというスポーツをある程度理解している、知っていると思っていました。それがコーチングコースで日々学んでいる中で、自分が「サッカーについて何も知らないことに気がつきました」。ソクラテス風に言いますと「サッカーを知らないことを知らなかった」のです。本当に無知とはこのことだったと自分の今までの行動を振り返って恥ずかしくなりました。そのことに気がついてから、サッカーについて、いえ、フットボールについて一から学ぼうと考えるようになりました。自分のオリジナリルな「サッカー感」や「プレーモデル」を持つのは大事です。その自身のオリジナルなものはサッカーの原理・原則を知った上でのものでなければなりません。その上で、ドリブルサッカーでも、パスサッカーでも、なんでもすると良いと思います。コーチングコースのトレーニング理論の授業で、先生のダビがある生徒に言いました。「君の意見はわかる、でも、それはなんの意味もないことだ、本や論文に書いてあることなのか、それとも有名な監督が実践していることなのか、誰がその君の意見が正しいことを証明できるんだ。」このダビという先生のもとフランシスコ・セイルーロ(元FCバルセロナフィジカルコーチ、現FCバルセロナメソッド部門ディレクター)のトレーニング理論Entrenamiento Estructurado(構造化されたトレーニング)を学びました。自分の意見を持つなら、それを証明しなければならない。僕はこう思う。私はこう思う。ではなくて、過去の書物から自身のアイディアを証明するものを探して理論づけて行くことで、自分のオリジナルな「サッカー感」や「プレーモデル」が形作られて行くと思います。
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