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スペインサッカーコード「バイエルン・ミュンヘンのSalida de balón分析②」:対アトレティコ・マドリードCL準決勝〜第1戦(後半)

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前半の振り返りアトレティコは前半36分、バイエルン右CBハビ・マルティネスをフリーにしないために、アトレティコ右MFガビが、バイエルンがディフェンスラインでボールを回す際に、バイエルンの「ボールの出口」プレーのキーポイントとなるDMFシャビ・アロンソのマークにつくことで、アトレティコの2トップの1人左FWグリズマンがバイエルン右CBハビ・マルティネスを外側に追い込むようにプレッシャーをかけることができるようになりました。左CBアラバのマークはフェルナンド・トーレスがしています。アトレティコの「ボールの出口への守備」方法の変化により、バイエルンは右サイドで数的優位を作ることが難しくなりました。後半開始直後、相手のディフェンス方法を確認するバイエルン(ボールの出口への守備を確認):後半開始直後の「ボールの出口」システム:バイエルン:4−3−3(2−3−2−3)アトレティコ:4−1−3−2ボールの出口(Salida de balón): ボールの出口(Salida de balón)とは、パスやコンドゥクシオン(Conducción:スペースへボールを運ぶドリブル)使って、ハーフライン手前のミドルゾーン(12m〜15m)へ、ボールを運ぶプレーのことを言います。後半開始直後、バイエルンGKノイアーは左CBアラバにグラウンダーのパスをします。前半との違いは、両CBがペナルティエリア幅まで開かないこと。左CBアラバと右CBハビ・マルティネスとの距離は20〜25m程度になっています。前半、GKノイアーは右CBハビ・マルティネスにパスを出して、右SBラームのスペースを作る動きから右サイドに相手ディフェンスを引きつけて左サイドへサイドチェンジをして「ボールの出口」プレーをしていましたが、後半は左CBアラバから「ボールの出口」を始めています。なぜ、後半開始直後に相手のディフェンス方法を確認するのか!?スペインでは後半になると前半の試合の分析結果から、攻撃や守備の方法、選手のポジショニング等を、相手チームの攻撃や守備にうまく適応できるように変更するチームが多いです。バイエルン監督のペップ・グアルディオラも相手チームであるアトレティコ・マドリードが後半どのように「ボールの出口への守備」をしてくるのかを確認をするために、後半のプランを少し実行しながら確認をしています。アトレティコ・マドリードも前半のような「ボールの出口への守備」ではなく、一度、相手のCBがボールを受けてからディフェンスを開始するようにしています。ペップ・グアルティオラは後半を開始して5分くらいから後半のプランを実行することが多いです。なぜ、後半開始5分なのかを考えた場合、後半開始直後からプランを実行したら良いという考えもあると思いますが、相手チームであるアトレティコ・マドリードも後半のプランがあることでしょう。ペップ・グアルディオラは相手がどのように攻撃をして守備をしてくるのかを後半開始直後に確認したいのです。そのように考えると、私たちの後半の「ボールの出口」はこのようにプレーをしますよ、というのを一度、相手チームに見せて確認させておいて、バイエルンとしては相手チームであるアトレティコ・マドリードの「ボールの出口への守備」の方法、誰がどのように誰をマークするのかを再度確認することが必要だったのではないかと。その上で後半のプランを実行していくのだと考えます。なぜ、バイエルンは後半、左CBアラバから「ボールの出口」プレーをすることにしたのだろうか?・アトレティコのガビにDMFシャビ・アロンソのマークをさせないためだと思います。ボールがバイエルンの左サイドにある時、ガビはバイエルンの左MFチアゴ・アルカンタラをマークすることになっています。ガビは左から中央GKノイアーか右CBハビ・マルティネスにボールが入った場合に限り、シャビ・アロンソをマークしています。中央から右サイドのラームにボールが渡った場合、ガビはシャビ・アロンソのマークをやめて、アトレティコのMFラインに入り、「ミドルゾーン」グランド中央のスペースを埋めています。前半のガビはバイエルンのGKノイアーがボールを保持した時だけシャビ・アロンソをマークしていましたが、前半36分の「ボールの出口への守備」からこのように守備方法を変えています。アトレティコの「ボールの出口への守備」はグランド内側へのパスコースと縦パスのコースを切り、相手を外側に追い詰めるようにプレッシャーをかけるので、ガビはこのように動いているのだと思います。図1:アトレティコ・マドリードの「ボールの出口への守備」のポジショニングを確認するバイエルンこの図を見ると、ボールを保持している左CBアラバに左MFチアゴ・アルカンタラがパスを受けるために近づきます。アトレティコ・マドリード右MFガビは左MFチアゴ・アルカンタラをしっかりとマークしています。DMFシャビ・アロンソのマークは前半と同じように左FWグリズマンが落ちてマークをしています。左SBベルナトは右サイドMFサウルにマークされ、右MFビダルは右SBラームをマークしていた左サイドMFコケがポジションを内側に絞りマークにつきます。アトレティコ・マドリードの左MFフェルナンデスは1ボランチの位置で「ミドルゾーン」のグランドセンターの位置でゾーンディフェンスをしています。バイエルンの3トップはそれぞれ、アトレティコ・マドリードの4バックにマークされています。右CBハビ・マルティネスと右SBラームはフリーですが、アトレティコ・マドリードがバイエルンを左サイド外側へ追い込むように守備をしているので、右サイドへ展開することはできません。パスを受けた左MFチアゴ・アルカンタラはパスコースがないので、すぐに、左CBアラバにバックパスをします。左CBアラバもパスコースがないので、左サイド前方にいる左WGダグラス・コスタに浮き球のロングパス「ダイレクトプレー」をすることを選択します。後半開始4分のバイエルンのシステム:4−2−1−3(2−4−1−3)図2:左CBアラバをフリーにし、右サイドへ展開する図2を見ると、左CBアラバがGKノイアーからボールを受けるとDMFシャビ・アロンソが左SBベルナトと左CBアラバとの間のスペース「ライン間」にポジションを移動しています。通常の試合ではシャビ・アロンソを中心とした「ボールの出口」プレーをするバイエルンなので、アトレティコ・マドリードのプランとしては、DMFシャビ・アロンソにパスを受けさせないことがキーポイントになります。この試合の前半でもDMFシャビ・アロンソにパスを受けさせないようにすることに関してはアトレティコ・マドリードは成功していたと思います。このDMFシャビ・アロンソのポジショニングにアトレティコ・マドリードの右FWフェルナンド・トーレスが少し困惑した表情を見せます。後ろを確認し、右MFガビがDMFシャビ・アロンソをマークするのか、それとも自分がDMFシャビ・アロンソをマークした方が良いのか迷ったのではないでしょうか。右MFガビは両CBがボール受けると、MFラインに入り、バイエルン左MFチアゴ・アルカンタラをマークする役目があります。左MFチアゴ・アルカンタラは自陣左サイドにスペースを作るために、ハーフライン付近トップ下の位置までポジションを上げていきボールから離れます。当然、左MFガビはその動きについていきます。ただ、このDMFシャビ・アロンソと左MFチアゴ・アルカンタラの動きだけでは左サイドに左CBアラバのためのスペースが空いたとしても右サイドに展開することができるスペースができません。なぜかと言うと、「ミドルゾーン」グランドセンターの位置にアトレティコ・マドリード左MFフェルナンデスがゾーンディフェンスをしているからです。彼にバイエルン右MFビダルをマークさせることで、「ミドルゾーン」グランドセンターの位置にスペースを作りたいバイエルンです。右MFビダルが落ちてDMFシャビ・アロンソの位置に入ります。左MFフェルナンデスが右MFビダルをマークしないとビダルがフリーでボールを受けて簡単にバイエルンが「ボールの出口」プレーをしてしまいます。この右MFビダルを左MFフェルナンデスがマークをしにいったことで、「ミドルゾーン」グランドセンターの位置に大きなスペースが生まれました。そのスペースにバイエルン右SBラームが移動します。その動きを察知したアトレティコ・マドリード左サイドMFコケはバイエルン右SBラームをマークしにいき、グランド内側へポジションを絞りこのスペースを埋めます。右サイドに広大なスペースができ、右CBハビ・マルティネスがその右サイドの大きなスペースに移動しパスを受け「ボールの出口」プレーをします。図3:アトレティコの2トップの間の「ライン間」に「コンドゥクシオン」をして、相手を引きつけ右サイドにパスを展開する左CBアラババイエルン左CBアラバが後半何度も相手DFライン(2トップ)の間のスペース「ライン間」に「コンドゥクシオン」を仕掛けます。この効果は相手選手2人がマークに引きつけられることで、外側にスペースが生まれることです。※「コンドゥクシオン」とは、空いたスペースへボール運ぶドリブルのことを言います。図4:バリエーション1。ラ・ボルピアーナをするシャビ・アロンソ左CBアラバがプレーをするスペースと右サイドにスペースを作ることに成功したバイエルンは様々な「ボールの出口」プレーのバリエーションを見せます。DMFシャビ・アロンソが「ラ・ボルピアーナ」の動きをして、両CBの間にポジションを取ります。その前に一度、GKから左CBアラバにパスが渡っているので、アトレティコ・マドリード右MFガビはバイエルン左MFチアゴ・アルカンタラをマークすることに切り替えています。右MFビダルがアトレティコ・マドリードの左MFフェルナンデス(「ミドルゾーン」グランドセンターにいる)を引きつけるためにDMFシャビ・アロンソの位置に入ります。「ミドルゾーン」グランドセンターの位置に大きなスペースができたので、バイエルンの右WGコマンが内側にポジションを取り、左CBアラバから直接パスを受けることができるようになりました。そのパスコースを消したいアトレティコ・マドリードは左サイドMFのコケが内側に絞りこのスペースを消しにいきます。そうすると右サイドに広大なスペースができ、バイエルン右SBラームがフリーでボールを受けることができました。※「ラ・ボルピアーナ」とは、味方がDFラインの間にポジションを取り、数的優位を作る方法のことです。図5:バリエーション2。ラ・ボルピアーナをするビダル左CBアラバがボールを保持し、DMFシャビ・アロンソが左SBベルナトと左CBアラバとの間の「ライン間」にポジションを取ります。右MFビダルはDMFシャビ・アロンソの位置に入ります。右MFビダルは「ラ・ボルピアーナ」をしてディフェンスライン付近でボールを受けようと動き出します。この動きに左MFフェルナンデスはマークをするのを諦めます。なぜかと言うとあまりにも彼が守らなければならない「ミドルゾーン」センターから遠い位置であるので、左MFフェルナンデス素早く「ミドルゾーン」センターの位置に戻りました。フリーでボールを受けた右MFビダルは相手FWを引きつけ、フリーになっているDMFシャビ・アロンソにパスをして「ボールの出口」プレーを完了します。このようにバイエルンはアトレティコ・マドリードのシステム、ポジショニング、マークの方法を確認し、それに対応する手段を見つけます。特に後半は「ボールの出口」プレーに関しては素晴らしかったのではないでしょうか。対するアトレティコ・マドリードは「ボールの出口への守備」に関しては、「マークのずれとスペースと数的優位」をバイエルンに作られ、特に後半は「ミドルゾーン」までチームが「後退」する方法を選択せざるおえませんでした。後半のバイエルンのゲームプランは左CBアラバがフリーでプレーをすることができるスペースをMF3人が自陣左サイスで作り、相手を左サイドに引きつけ右サイドにスペースを空け、その空いたスペースに右SBラームや右CBハビ・マルティネスがボールを受けて「ボールの出口」プレーをすることだと推測します。次回はこの試合のバイエルン・ミュンヘンの「プレーの前進」を分析したいと思います。

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