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Channel: 坂本圭 スペイン式サッカーメソッドを体感する!
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スペインサッカーコード:〜指導者の4つの指導スタイル〜

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指導者は演技する力が必要 〜4つの指導スタイル〜選手を指導する監督やコーチは自身のチームにどのような選手がいて、どのようなチーム状況で、プレシーズンなのか、シーズン中なのか、休み明けなのか、様々なチームの状況によって「4つの指導スタイル」を使い分けて、チームを指導することが大切だと考えます。本当は、6つの指導者のスタイルがあるのですが、重複するところもあるので「4つの指導者スタイル」とします。1. 独裁的、ワンマン、鬼軍曹タイプ(Autritario): このタイプの指導者は日本にも多いと思います。例えば、ファン・ファールや元日本代表監督トルシエがそうです。シメオネは外見は独裁的に見えますが、指導スタイルを知らないのでどうなのでしょう。このスタイルを使う状況は、チーム規律がなく、チームが崩壊状態の場合、例えば、シーズン中成績が悪くて、監督が首になり、新しい監督が来た場合などがそうです。プレシーズン、休み明け、週明けのトレーニング、チームに喝を入れたい場合に使うと効果的です。このタイプは意思決定は一方的で全て監督が決めます。選手の私生活、プレーに取り組む姿勢、態度、チーム規律を作る時に最も適したタイプです。ペップ・グアルディオラがバルサの監督に就任した最初の日に独裁的、ワンマン、鬼軍曹タイプで始めたそうです。何をしたかと言うと、ペップ・グアルディオラがグランドに出てきた時に、薄ら笑いを浮かべていたコーチ陣2、3人がその場でグアルディオラから首を言い渡されました。このタイプは、例としては悪いですが、ヤンキーばかりいるチーム規律のないサッカー部の顧問になった時には非常に有効です。人の話をしっかり聞く態度がない、エゴイストばかりいるチームで「選手に考えさせる」「選手に選択肢を与える」「放任する」指導は適していません。と言うことは、自身の受け持っているチームの状況、選手によって、指導者タイプを使い分ける必要があります。良い点:チームに規律を持たせる。チームのボスは誰かはっきりしている。チーム内にグループや派閥を作らせない。チームを導くことができる。悪い点:選手が監督に依存する。チーム内にネガティブな環境ができる。シーズン中ずっとこのタイプの監督は薦められない。2. 選手に理解させる、説得力のあるタイプ(Persuasivo): このタイプは選手との関係を重要視します。洞察力があり、理論的に話す力があります。チーム規律があり、監督の言うことにしっかりと耳を傾けることができるが、チーム一人一人のサッカー感がバラバラでモチベーションが低い時、エゴイスティックなプレーをする選手が多い時、自身の「プレーモデル」を選手に植え付ける時、チームの中で自身の役割が難しいと感じている選手がいる時などに有効です。選手に理論的に説明する、納得させる、説得できるように話すことができる、行動できることが重要です。選手が監督が求めるプレーをした時などに、賞賛する、褒めるなどのフィードバックがあると良いと思います。プレシーズンやシーズン初め、週の半ばのトレーニング(水、木)に使うと良いと思います。良い点:色々な方法がある中で一つの方向を目指すとき。チーム内に特別な能力のある選手がいる場合。選手と監督の連携強化。悪い点:監督の意思決定が相応しくないとき(指導スタイルの切り替えの時)選手が監督に依存する。選手と監督との関係が良くない時。3. 民主主義的タイプ(Democrático): 例えば、カルロ・アンチェロッティ。このタイプは選手の話をよく聞きます。対話を重要視します。選手一人一人を平等に扱い、選手一人一人がチームの一員である意識を持たせ、選手に意思決定をゆだねます。チームの約束、選手と監督の約束、選手同士、選手と監督やコーチ陣の連携を大事にします。このタイプの指導者が最も良いように感じられます。私自身もできれば民主主義タイプの指導者として、指導できたらな思います。チーム規律があり、チームプレーができるようになり、「プレーモデル」に忠実にプレーできるようになっている場合に有効です。ここまできて「選手に考えさせる」指導が効果を発揮します。チームの中で個人の特徴やイマジネーションを発揮し、チームを進化させることができると思います。シーズン半ばや試合2日前のトレーニング(金曜日、試合が日曜日だとして)にこのタイプを使うと良いと思います。良い点:チーム、グループ内のモチベーションが高まる選手と監督の関係が良くなる。質の良い意思決定が生まれる。悪い点:チーム内にヒエラルキーの違いができる。選手が監督より、上になることができない。4. 寛容、放任主義タイプ(Permisivo): このタイプは、選手もチームも成熟している場合、ベテランぞろいのアマチュアチームに用いると良いと思います。試合前日のトレーニング(プレッシャーのかかる試合前)、シーズンの終わり、プレッシャーのかかる試合がない場合に適しています。選手に自由を与え、自由に意思決定させます。監督は必要な時にだけ、意思決定を下します。良い点:チームに静寂をもたらす。試合前の緊張を取り除く。悪い点:チームや選手が十分に成熟していなけらばならない。エゴイスティックな選手が出てこないように注意する。以上の4つはあくまでも例です。チームの目標を達成するために、どのような指導者のスタイルが適しているか、考えることが大事だと思います。指導者のスタイルに、これが絶対的に正しいというようなものはないと考えます。例えば、スペインでも、トレーニングで頻繁にプレーを止めて指導する監督もいますし、トレーニング中はほとんどプレーを切らずに指導する人もいます。その指導者にあった、選手がチームが成長し、試合に勝つことができるなら、指導スタイルはどのようなものでも構わないと思います。ただ、上記の4つの指導スタイルを理解することによって、チームの状況や、時期によって指導スタイルを変化させ、チームをより素晴らしいチームに導く指導者になることができるのではないかと思います。

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